話を切り出すときに使われる定番のフレーズとして「つかぬことをうかがいますが」という言い回しがあります。
ここで使われている「つかぬこと」という言葉はこの言い方以外でほとんど使われることがありませんが、いったいどのような意味があるのでしょうか。
今回は、「つかぬこと」の意味と似たような意味を持つ言葉について解説します。
「つかぬこと」とは?意味
「つかぬこと」とは、「これまでの話の流れとは無関係なこと」という意味の言葉です。
「つかぬこと」の概要
「つかぬこと」は「つかぬ」こと、つまり「つく+ない」ことという構造で成り立っています。
「つく」という言葉にはとても多くの意味がありますがこの場合は「付随する」という意味で使われています。
これまでの話の流れや話題に付随していない、つまり「無関係なこと」を表しています。
一般的には大きく話題を変えるときやこれまでしたことのないテーマを切り出すとき、相手が予想もしていないであろう内容を尋ねるときなどに使われます。
「いきなり」「突然」といったような「前ふりや予兆がない」と言ったニュアンスが込められている言葉なのである程度予想がつくようなテーマや話の流れに沿っている内容を話すときには用いられません。
近年は「つかぬこと」を「大して重要ではないつまらないこと」という意味で使うケースも見られますが、この言葉にそのような意味合いはなくはっきりした誤用です。
話の流れや前提とは無関係に突然切り出したのであれば重要なことでも瑣末なことでも「つかぬこと」という表現が使えます。
「つかぬこと」の言葉の使い方や使われ方
・つかぬことをお聞きしますが、先週の金曜日はどこに行かれましたか。
・つかぬことを聞くようですが、出身はどちらでしょうか。
・つかぬことをお聞きするようですが、甘いものはお好きでしょうか。
・つかぬことにも丁寧に回答していただき誠にありがとうございます。
「つかぬこと」の類語や言いかえ
・卒爾ながら
「突然のことで失礼ですが」という意味の言葉です。
主に人に物を尋ねるときに使う定型句で、固い場面で用いられることが多い古風な言い回しです。
現代ではあまり使われる機会の少ない言葉ですが歌舞伎や時代劇などでは広く見られる表現です。
・話は変わりますが
「これまでも話題とは違う話をすること」を意味する言葉です。
話のテーマを変えるときなどに使われる常套句で、これまでの話とは一切の関連がないほど大きく異なる話題に切り替えるときに使われます。
「つかぬこと」が相手に対し下手に出ている敬意を含んだ表現であるのに対し、こちらは特に敬意は含まず対等な立場でも使われます。
・だしぬけ
「出会い頭に前振りもなく突然」という意味の言葉です。
流れとは関係なく唐突にすることを表す言葉で、流れとは無関係なことを意味する「つかぬこと」とは似た意味合いです。
「つかぬこと」が人に対して何かを切り出すときに対して使われる言葉であるのに対し、こちらはそのような様子を表す言葉で一般的には無言でいきなり何かをする様子を表します。
まとめ
「つかぬこと」は日常生活ではあまり使われない言葉ですがビジネス文書などでは使われることもある、社会人なら知っておきたい言葉です。
難しい意味ではないのでこの機会にしっかり覚えておきましょう。