「エンパワーメント」と「エンゲージメント」、この2つの言葉を聞いたことはあるでしょうか。
一見同じような言葉に見えるこの2つについて、本文では違いをわかりやすく説明いたします。
「エンパワーメント」の意味とは?
「エンパワーメント」は、英語の「empower =(力を与える)」という単語から派生して生まれた言葉です。
直訳すると「力を与えること」という意味になりますが、より詳細に言い換えると、「相手の潜在能力を引き出し、必要な力をつけさせること」という表現ができます。
「能力開花」という言い方をすることもあります。
現在では、人材育成・マネジメントにおいて「エンパワーメント」がよく用いられます。
「エンパワーメント」の具体的な使い方について、「飲食店」の経営を例に考えてみましょう。
お客様の入店から退店までの逐一をマニュアル化している飲食店は、「エンパワーメント」の考え方のない一例です。
マニュアルに従うだけの環境下では、従業員の向上心や接客スキルが頭打ちになってしまいます。
一方で、従業員が自ら考えて行動するよう、判断を委ねている飲食店は、「エンパワーメント」の考え方がある一例です。
従業員主体で判断させるという一種の「力」を与えることで、向上心や接客スキルのアップが期待できます。
「エンゲージメント」の意味とは?
「エンゲージメント」は、英語の「engagement =(雇用、所有、婚約)」という単語がもとになっています。
使用されるTPOによりニュアンスは変わりますが、広い意味では、「所属する組織に対する愛着心」という表現ができます。
「エンゲージメント」は、日本において「愛社精神」の意味でよく用いられます。
先ほどと同様、「飲食店」を例に考えてみましょう。
従業員の離職率が高い飲食店は、「エンゲージメント」のない一例です。
一方で、従業員の離職率が低く、長い期間働いてくれる飲食店は、「エンゲージメント」のある一例です。
職場に対する愛着心の厚い従業員は、その職場で長く働き続ける傾向にあります。
「エンパワーメント」と「エンゲージメント」の違い
それでは、「エンパワーメント」と「エンゲージメント」の違いとは何でしょうか。
どちらも現在は、企業の人事やマネジメントによく用いられる言葉で、従業員のスキルアップや、企業の生産性向上に関わり、従業員と企業がともに成長できる考え方ですが、アプローチの仕方が異なります。
「エンパワーメント」は、従業員が主体的に行動できるように何らかの「力」を与えることから始まります。
従業員は自己判断能力や向上心が高まるので、業務の成果もアップします。
成果がアップすると、企業の実績につながり、従業員と企業がともに成長できるという流れです。
一方「エンゲージメント」は、従業員の企業に対する愛着心を高めることから始まります。
愛着心のある従業員は定着率が高まり、業務の精度やモチベーションが向上します。
そして、業務の成果がアップし、「エンパワーメント」と同様、企業の実績につながって、従業員と企業がともに成長できます。
「エンパワーメント」と「エンゲージメント」は、TPOによって広い意味をもちますが、このように、企業での使い方を一例に考えると、わかりやすく区別ができます。
まとめ
本文では、「エンパワーメント」と「エンゲージメント」の違いを、具体例を用いて説明してきました。
意味、用途の違いをしっかりと理解し、活用しましょう。