「五月蝿い」と「煩い」はどちらも「うるさい」と読み、意味も同じに感じる言葉です。
漢字が難しい割には知っている方も多い言葉だとは思いますが、どのようなところが違っているのかを知っている方は案外いないのではないでしょうか。
それではこの記事では、「五月蝿い」と「煩い」の違いについてわかりやすく説明していきたいと思います。
「五月蝿い」の意味とは?
「五月蝿い」とは、物音が大きく耳障りである、邪魔でわずらわしいこと、嫌になってしまうほど優れている、などといった意味があります。
「五月蝿い」は「うるさい」と読み、意味は「煩い」とほとんど同じです。
この変わった言葉の成り立ちと由来は、まだ日本で旧暦が使われていたころ、「五月」は雨の時期でした。
じめじめとした「五月」は、「蝿」が飛び始める季節だったと考えられるようで、そこから「五月蝿い」と漢字を当てるようになったと考えられています。
また、この漢字であらわす「うるさい」は、とくに不快でうっとうしいという意味が強いときに使います。
「煩い」の意味とは?
「煩い」とは、物音が大きくて耳障りであること、邪魔であり煩わしいことなどを意味する言葉です。
「五月蝿い」と意味はほとんど同じです。
今ではこの漢字を使う「うるさい」が一般的ですが、とくにわずらわしく面倒そうにするときに使う言葉です。
「煩」が「煩わしい」という意味の漢字なので、この漢字の「うるさい」はわずらわしさの意味が強いときに使うようになったようです。
「五月蝿い」と「煩い」の違いについて
「五月蝿い」と「煩い」は、読み方も同じで意味も同じ言葉でした。
では、その漢字以外にどのような点が違っているのかを、ふたつの言葉を比べてわかりやすく説明していきたいと思います。
まず「五月蝿い」は少し古い言い方であるとともに、とくに「不快で鬱陶しい」が強いときに使う言葉です。
対する「煩い」は煩わしさをあらわす漢字の「煩」からも分かる通り、とくに「わずらわしく面倒である」という思いが強いときに使われるようです。
微妙なニュアンスですが、使い分けをするとより日本語を楽しむことができるので、「五月蝿い」は小説など文学作品においてはいまだに使われることも多い言葉です。
また、正式な漢字はもともとは「五月蝿い」でしたが、現在では「煩い」と書くのが正式に近く、一般的なようです。
「五月蝿い」を使った例文を紹介
・『受験も近いのでしっかり勉強したいのだが、僕のクラスメイトは授業中に騒ぐ人が多く、どうも五月蝿くて困っている。
まだ開けた窓から入ってきて僕の周りを飛んでいる蝿のほうが静かだ。』
「煩い」を使った例文を紹介
・『ささいなことで夫とけんかしてしまい、メッセージを送ってきたりすれ違うたびになにか言ってきたりするけれど、私は煩いなあと思うだけで無視するようにしている。そのうち謝ってくるだろう。』
「五月蝿い」と「煩い」の違いのまとめ
いかがでしたでしょうか。
「五月蝿い」は不快であり鬱陶しいということを、「煩い」はわずらわしいことをとくにあらわし、同じ読み方でも感じの違いでニュアンスの違いがあるという珍しい言葉でした。
このふたつの言葉の微妙なニュアンスの違いを理解しておくことで、小説をより面白く読むことができるかもしれません。
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。