この記事では、「哀愁」と「郷愁」の違いを分かりやすく説明していきます。
「哀愁」とは?
寂しくもの悲しい気持ちを意味する「哀愁」。
「哀愁」の「哀」には、いつくしむ、悲しむ、といった意味があり、「愁」には、嘆き悲しむ、といった意味があります。
このような意味を持つ漢字が用いられることからも、どれだけ、寂しくもの悲しい気持ちを意味する言葉なのかということがわかります。
「哀愁」は、「悲哀」、「センチメンタルな気持ち」、「心の痛み」、「もの悲しい気分」、「切ない気分」、「悲痛な気持ち」などと言い換えることができ、英語で「sad」です。
「哀愁」の使い方
「哀愁」の場合、「哀愁を感じる」や「哀愁漂う」、「哀愁を帯びる」、「哀愁を込める」、「哀愁に浸る」などといった使い方のほか、「哀愁込めた」、「哀愁帯びた」などといった言葉もあります。
「郷愁」とは?
故郷を懐かしく思う気持ちを意味する「郷愁」。
また、過去のものや遠い昔のことなどに魅かれる気持ちも意味する言葉となります。
「郷愁」の「郷」は、故郷を意味し、「愁」には、嘆き悲しむ、といった意味があります。
そのことから、「郷愁」には、単に故郷のことを思い出すのではなく、嘆き悲しむほど深く懐かしく思うといった意味があります。
「郷愁」は、「ノスタルジア」や「もの懐かしさ」、「里心」、「故郷を思う心」などと言い換えることができ、英語は「nostalgia」です。
「郷愁」の使い方
「郷愁」の場合、「郷愁を覚える」や「郷愁にひかれる」、「郷愁を起こす」、「郷愁に駆けられる」、「郷愁を誘う」、「郷愁をくすぐる」などのほか、「郷愁の念」といった言葉もあります。
「哀愁」と「郷愁」の違い
「哀愁」と「郷愁」は、全く異なった意味を持つ言葉です。
「哀愁」は、寂しくもの悲しい気持ちを意味し、「郷愁」は故郷を懐かしく思う気持ちを意味します。
どちらも、寂しく思う気持ちでは共通点があるものの、「郷愁」の場合、故郷や過去に限られ用いられることができる言葉となります。
「哀愁」の例文
・『夕暮れの静まり返った講演には、どこか、哀愁を感じてしまいます』
・『一人淋しく帰宅する彼の後姿からは、哀愁が漂っています』
・『私は、いつも、哀愁漂う雰囲気の男性に魅力を感じてしまいます』
・『昭和レトロで、どこか哀愁漂う外観のお店に魅かれ、つい立ち寄ってしまいました』
「郷愁」の例文
・『私は、郷愁の念を抱きながらも、ここで頑張ると心に決めました』
・『故郷を題材にした曲は、郷愁を誘う歌として心に響きます』
・『慣れない都会の一人暮らしのなか、故郷がテレビで映ると故郷のことを思い出し郷愁にふけってしまいます』
・『故郷の郷土料理を提供するお店で、懐かしい料理を食べ郷愁に浸りました』
まとめ
以上のように全く異なった意味を持つ「哀愁」と「郷愁」となるため、決して同じものとして用いることはできません。