この記事では、「強者」と「猛者」の違いを分かりやすく説明していきます。
「強者」とは?
「強者」は(つわもの)と読みます。
訓読みで(きょうしゃ)と読んでしまう人も少なくない、読み方が少々難しい言葉です。
この「強者」は、「つばもの」が変化した言葉で、人ではなく武器のことでした。
ちなみに「つばもの」の「つば」は刀の鍔(つば)です。
その後武器を手に取り勇敢に戦う兵士を意味するようになりました。
また、兵士だけではなく、専門的な分野で抜きん出て優秀な人も「強者」と言います。
興味深いことに「兵」と書いても(つわもの)と読みます。
いずれにしても、昔の勇敢な武人を思い起こさせる言葉です。
「夏草やつわものどもが夢の跡」は、松尾芭蕉作の「奥の細道」に書き記された有名な俳句です。
源義経を守り勇敢な家臣たちが散っていった平泉の地で、芭蕉が時の流れに物思い詠んだ俳句です。
ちなみにここでは「兵」という漢字が当てられています。
「強者」の使い方
現在では「強者」という言葉を使うことは少なくなりした。
しかし手強いという意味で「〇〇さんは強者だからなあ」などの言葉を聞くこともあります。
また時代劇のチャンバラのシーンで刀を押し付け合いながら「お主、強者だな」というのは、定番のセリフだと言えるでしょう。
「猛者」とは?
「猛者」は(もさ)と(もうざ)とふた通りの読み方があります。
「もうじゃ」と読んでしまう人も多い読み方が難しい漢字です。
(もさ)意味は、荒っぽく力がある勇敢な人のことです。
(もうざ)も(もさ)と同じく勇敢な人のことですが、そのほかに裕福な人も意味しています。
平安時代の後期に使われるようになった言葉で、男性を称賛するときに用いられていた言葉です。
いずれにせよ「猛」は、たけし・たけだけしい・はげしいの意味を持つ漢字で、その「猛」が用いられている「猛者」という言葉からは、荒々しい力強さのニュアンスがよく伝わってきます。
「豪傑」(ごうけつ)という言葉がありますが、これも「猛者」と同じような意味を持っています。
「猛者」の使い方
現在で「猛者」という言葉を耳にするのは、「柔道の猛者」くらいです。
この言葉の意味を知らない人は、少なくありません。
「強者」と「猛者」の違い
「強者」と「猛者」は、どちらも強く勇敢な人を表す古くからある日本語です。
現在はあまり使われない言葉なので、意味の違いを知らない人もたくさんいます。
「強者」は武道に優れた勇敢な人や、特別な分野で優れた才能や技術を持つ人を意味し、「猛者」は野性味がある荒々しく勇敢な人を表しています。
まとめ
「強者」と「猛者」は、目にしたり耳にしたりする頻度があまり高くない言葉です。
しかし古くからある日本語ですので、それぞれの意味の違いを知っていて損はありません。
時代劇などを見るときに、注意して耳を傾けていると、「強者」や「猛者」という言葉が耳に入ってくるかもしれません。