心理学の本を読んでいると、同じようなフレーズに苦戦することがあります。
この記事では、「情緒」と「情動」の違いを分かりやすく説明していきます。
似ている言葉の差を、ひも解いていきましょう。
「情緒」とは?
情緒(じょうちょ)とは、心の動き。
その場の雰囲気や様子のことです。
怒ったり悲しんだり笑ったり怖がったり、私たちの心は色々なカラーに染まります。
そうした気持ちの高ぶりを「情緒」と言いあらわしています。
情緒の情は、感情のこと。
情緒の緒は、糸口のことです。
「緒」には動き始めるという意味があるので、情緒で心が動くきっかけ、手がかりという意味になります。
気持ちが揺り動かされること、感情が動くきっかけとなることを情緒と呼んでいるのです。
情緒の使い方としては「駅前が情緒豊かなスポットに生まれ変わった」や「彼女は疲れているのか、情緒不安定に見えた」や「情緒あふれる景色が広がる」などがあります。
「情動」とは?
情動(じょうどう)とは、急にわき上がった感情のこと。
怒りや憎しみ、喜びや笑いなどの荒々しい気持ちを言い表します。
おもに心理学や医学の世界で、用いられる言葉です。
最近よく耳にするEQ(心の知能指数)も、実は情動と多いに関係があります。
EQというのは怒ったり泣いたり、自分の感情をどこまでコントロールできるか表現したもの。
EQの値が高いほど自分を抑制できて、他者を受け入れる心のゆとりがある人です。
情動は大脳の神経の一部が、制御をおこなっています。
最近の研究では、ある程度訓練をおこなうことによって、情動を自分であやつることが可能だと分かってきています。
豊かな生活を送るためにも、情動はとても大切なカギを握っているのです。
「情緒」と「情動」の違い
どちらも「情」という言葉が入っているので、紛らわしいです。
「情緒」と「情動」の違いを、分かりやすく解説します。
・情動は心理学の言葉
「情緒」と「情動」はどちらも、感情や気持ちのこと。
使い分けがしにくいのですが、情動は心理学の専門用語として親しまれています。
日常生活で用いるときには情緒を。
心理学で荒々しい心の動きを示したいときは、情動と使い分けていきます。
情緒は「下町情緒」や「異国情緒」「情緒不安定なタイプ」など、日常のひとコマひとコマでよく目にするキーワードです。
対して情動は「情緒をつかさどる神経回路」や「季節性の情動障害」など医学や生理学の言葉として用います。
どんなシーンで使うのかによって、ピックアップされる言葉が変わってきます。
まとめ
「情緒」と「情動」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも感情・気持ちをあらわす言葉です。
情緒は雰囲気・佇まいとして用いることもあります。
また情動は「脳から見た、心の動き」として、医学や心理学の世界で取り上げられる言葉です。
一般的によく耳にするのは情緒、医学の分野で用いられるのが情動です。
上手な使い分けを心がけておきましょう。