恋愛感情はどちらかというと『好みの問題』というのに対して、それが愛情になると『愛』という好みを超越したとても深い感情になります。
例えば恋人を生涯のパートナーとして見る時や、肉親や子供などに対して抱く愛情などがこれにあたります。
使い方が様々ありますが、そのなかで今回は『愛す』と『愛せる』という表現について見て行きたいと思います。
この記事では「愛す」と「愛せる」の違いを分かりやすく説明していきます。
「愛す」とは
まずこれは文語系であり、正式には『愛する』になることはお判りになると思います。
『愛する』とは対象となる人物をかわいがり、いつくしんで愛情を注ぐことです。
もちろん対象は物や事柄などにもつかうことが出来ます。
例えば『私は音楽を愛する』や『祖国を愛する』などの表現はよく使われます。
「愛せる」とは
一方『愛せる』とはどうでしょうか。
まず『~せる』について理解をしなければなりません。
『~せる』とは何かをすることができるという『能力や可能性』についてを表す表現です。
つまり『~ことができる』という言葉にも置き換えることができます。
したがって、『愛せる』とは『愛することができる』という『能力や可能性』のことを表す言葉です。
例えば、好きになることが出来ない部分があっても愛情があるから『愛せる』というのはあると思います。
例えばだらしない態度などは好ましいものではありませんし許容できる限度はありますが、家族であれば目をぶって愛せることもあるでしょう。
この様に理性よりも可能性に注意点を置いた表現が『愛せる』です。
「愛す」と「愛せる」の違い
この違いは『愛するという動作や行為を行うこと』か『愛することができるという能力や可能性』の違いで使い分けることが出来ます。
『愛す』つまり『愛する』とは愛情を注いでいるという行為に対して『愛せる』は好きか嫌いかというよりは理性をもって出来るかできないかを表す表現です。
「愛す」の例文
・『私は彼を愛さずにはいられない気持ちにいつしかなっていた。』
・『祖国を愛す心こそがこの国を強くする原動力である。』
・『たとえどんな状況になっても決して人を愛す気持ちは忘れないで下さい。』
「愛せる」の例文
・『たとえどんな状態になっても君は彼を愛せるか?』
・『もう少ししっかりしていたら私は彼を愛せるのに…』
・『立花君はどんな厳しい状況でも仕事を愛せる心を持っているのでサポートしてくれる人が多い。』
まとめ
如何でしたでしょうか。
同じ『愛』という言葉でも語尾の違いで微妙に言葉の違いが出て来るのが日本語です。
今回は文法的な表現を抜いて説明しましたが、この機会に是非国語の『変格活用』や『五段活用』についても復習してみることをお勧めいたします。