「明白な事実」と「明らかな事実」は同じことを指すように思われますが、この2つに違いはあるのでしょうか。
この記事では、「明白」と「明らか」の違いを分かりやすく説明していきます。
「明白」とは?
「明白」とは、あきらかで疑う余地のないことを意味します。
また、「明晰」と同じ意味で用いられる場合には、論理学において、概念の外延が明確ではっきり区別できることを意味します。
「明白」は、通常「めいはく」と読みますが、古くは「めいばく」という読み方もありました。
さらに、「明白」には、「あからさま」という読み方もあります。
こちらは当て字のようですが、包み隠さず、あきらかなさまを指します。
「明」という漢字には、あかす、はっきりさせるという意味があり、「白」という漢字には、明るい、はっきりしているという意味があります。
中国語では、「明白」は、理解するという意味を持つ動詞です。
「明白」の使い方
疑う余地がないほど明らかであることを指して、「~は明白だ」「明白な~」という形で使われます。
「事理明白」は、物事の道理・筋道が極めてはっきりしているという意味の四字熟語です。
ちなみに、事理とは、本質と現象をさす仏教の言葉です。
「明らか」とは?
「明らか」とは、はっきりとしていて、疑う余地のないさまを指します。
国語辞典では、「明らか」の説明として「明白」が使われています。
また、「明らか」には、光が満ちて、明るく物を照らしているさま、道理に通じているさま、心が晴れやかなさまという意味がありますが、これらは多くの場合、古文で用いられます。
「明らか」の使い方
「明白」と同様に、「~は明らかだ」「明らかな~」という形で使われます。
「明白」と「明らか」の違い
「明白」と「明らか」は、どちらも疑う余地がないことを指し、意味としてはほとんど同じです。
しいて言えば、「明白」の方がより、疑う余地がなくはっきりしていると考えられます。
また、表現として「明白」は「明らか」より硬いイメージを与えます。
そのため、普通の日常会話で「はっきりしている」と同じ意味で使う場合には、「明らか」を使った方がいいでしょう。
「明白」の例文
・『彼にアリバイがないというのは明白な事実だ。』
・『彼女がそのような発言をした意図は明白なように思われた。』
・『論文を書くときには言葉の意味の明白性が求められる。』
・『明白な証拠を突き付けられて、罪を認めるしかなかった。』
「明らか」の例文
・『事件の真相が明らかになった。』
・『今回の事故について事実関係を明らかにしよう。』
・『明らかにあなたが言っていることの方が正しい。』
・『問題点が明らかになったところで、解決策を話し合おう。』
まとめ
意味はほとんど一緒ですが、程度としては「明白」の方がよりはっきりしています。
また、聞き手や読み手に与える印象も少し違うので状況に応じて使い分けるようにしましょう。