安全や安心に関わる言葉として「治安」と「風紀」があります。
どちらも似たような場面で使われることが多い言葉ですが具体的な意味はどのように違うのでしょうか。
今回は、「治安」と「風紀」の違いについて解説します。
「治安」とは?
「治安」とは「安全の程度」を意味する言葉です。
「治安」の本来の意味は「社会秩序の状態」です。
社会秩序が守られているかどうかが「治安」の意味するものであり、現実的には「安全に過ごせるかどうか」と言う意味で用いられています。
「治安」は「安らかに治める」というのが直接的な意味です。
この場合の「治める」主体は社会そのものです。
国や自治体など国民や住民の集合体としての社会によって保たれるべき秩序が「治安」であり、社会の果たすべき基本的責務のひとつとしてその維持は重要な意味を持っています。
一般に安全性が高いことを「治安がいい」と表現し危険に近づくほど「治安が悪い」と表現します。
努力しなければ維持できないものなのでどのようにして「治安」を維持していくのか運営者の手腕が問われます。
「治安」の使い方
・日本は世界的に見ても治安の良い国である。
・海外では裏通りに入ると治安が一気に低下することがよくある。
・物件探しでは治安のよさを最優先すべきだ。
・署長が交代した事により治安が一気に改善された。
「風紀」とは?
「風紀」とは「共同体の一員として守るべき常識、節度」を意味する言葉です。
「風紀」は抽象概念であり同じ言葉を用いても人により微妙に認識が異なります。
一般的には「集団を構成する人たちの間に漠然と共有されている倫理や道徳」と言う意味合いで使われ、英語でいうところの「moral」がそれに当たります。
行動規範が十分に守られていない状況を指して「風紀が乱れる」と表現します。
華美な服装や男女の奔放な交際などが典型的な風紀の乱れに当たりますが、その基準は場所や時代によって異なるため同じような状況であっても一概に風紀の乱れだと断定することはできません。
例えば向市の日本では男女が手をつないで歩くだけでも風紀が乱れているとされていましたが、現代では手をつないだぐらいでは風紀の乱れとは言われません。
道徳や倫理は時代によって基準が変遷するものです。
「風紀」も同じく場所や時代によって、あるいは人によって基準が変わります。
「風紀」の使い方
・風紀の乱れが指摘される。
・髪を染めたくらいで風紀うんぬん言うのは時代遅れだ。
・たるみきった風紀を一掃する。
・学生生活では何かと風紀について指摘されがちだ。
「治安」と「風紀」の違い
「治安」と「風紀」の違いは直接的な被害の有無です。
「治安」は暴力や窃盗など直接的な被害の恐れを表すのに対し「風紀」は倫理や道徳など直接的な被害ではなく精神的な大敗や堕落の恐れを表します。
「治安」は社会による支配的な意味合いが強く、「風紀」は主に精神面による道徳性が強調されています。
まとめ
「治安」と「風紀」は同じようなケースで使われることが多いですが、本来の意味からすると似て非なる言葉です。
それぞれの意味をきちんと理解し正しい言葉を使うようにしてください。