この記事では、慣用句の「白羽の矢が立つ」の意味や由来を分かりやすく説明していきます。
「白羽の矢が立つ」とは?意味
「白羽の矢が立つ」の読みは「しらはのやがたつ」で、一般的に「多くの中から選出される」ことを意味する慣用句です。
「白羽の矢が立つ」の概要
「白羽の矢が立つ」の「白羽の矢」とは、「矢羽根が白色の矢」と言う意味ですが、これが「立つ」ことが、冒頭で記載した意味の慣用句となった由来は、以下の俗説によるものです。
古代には、神への供え物として人間特に若い少女の身体を神にささげると言う「人身御供」と呼ばれる風習がありました。
大きな天変地異や深刻な不作が生じたような場合に、それを神の怒りだとして、怒りを鎮めてもらうために生贄としてささげたのです。
この生贄となる少女を選出すると、その少女の住む家の屋根に、目印として「白羽の矢が立てられ」たのです。
この俗説から、「犠牲者として選び出されること」を「白羽の矢が立つ」と言うようになったのです。
時代が進み、こうした人身御供の習慣もなくなり、この言葉は「犠牲者」を「多くの人の中から選出する」と言う意味における「犠牲者」の要素が薄れ、「多くの人の中から選出する」と言う見合いのみが残ったのです。
ちなみに、「白羽の矢が立つ」の意味で、「白羽の矢が当たる」と表現する人を見かけます。
これは「白羽の矢」が、的となる選出された人に「当たる」との連想から、使われていると思われます。
しかし、この慣用句の由来は先に記した様なものであり、「当たる」とするのは、誤りです。
間違わぬように、注意する必要があります。
「白羽の矢が立つ」の言葉の使い方や使われ方
「白羽の矢が立つ」の慣用句は、以下の例の様に使われます。
・『この重大なプロジェクトのリーダーとして、若手のホープである彼に白羽の矢が立ちました』
・『高校野球予選の準決勝の試合の前日に、エースピッチャーが負傷して出場できなくなりました。監督は悩んだ末に、控え投手の中から1年生の彼に白羽の矢を立てました』
・『あの有名なクレーマーの対応に、温厚で人当たりが良いと言う理由から、彼女に白羽の矢が立てられました』
以上の様に、現在では良い事柄に対しても、悪い事柄に対しても、「多くの人の中から選出する」と言う意味でいずれにも使われます。
「白羽の矢が立つ」の類語や言い換え
「白羽の矢が立つ」は、「選び出される」や「選抜される」や「選び抜かれる」や「抜擢される」や「お鉢が回る」や「貧乏くじを引く」などと言い換える事が出来ます。
ただし、「お鉢が回る」と「貧乏くじを引く」は、悪い事柄に対して選ばれる場合に、限定して使うべき言い換えです。
まとめ
「白羽の矢が立つ」は、当初は「多くの人の中か犠牲者とする人を選出する」ことを意味していましたが、現在では単に「多くの中から選出される」ことを意味する慣用句として使われています。
当初とは逆に、むしろ「抜擢する」様な場合に、使われることの方が多いと言えるかも知れません。