「穀潰し」
この「穀潰し」は「ごくつぶし」と読み、現在ではあまり聞くことのない言葉ですが、以前はそれなりに使われていました。
悪い意味しかない言葉で、基本的に身内にしか使わない言葉です。
言ってしまえば、どうしようもないと思った時に、それを怒ったり、叱咤の為に用いられます。
「穀潰し」の意味
穀潰しとは、働きもしないでぶらぶらとしている身内に対し、「無駄飯食らい」という意味で侮蔑する為に使います。
主にそのような状態の子供に対して使う言葉ですが、妻が働いている家庭で夫が働かずに同様の状態の場合も、この言葉でそれを表現することがあります。
ただし、思ったよりきつい表現になる言葉なので、この一言がきっかけになって大きな喧嘩などに発展することも珍しくない為、使い所には気を付けないといけません。
いくら使う対象が身内であっても、簡単に使う言葉ではありません。
「穀潰し」の由来・語源
穀潰しは、「穀物」(植物が原料の食材、ここではご飯の意味)を「潰す」(消費する)だけのどうしようもない存在だと使う言葉です。
これがそのまま語源だと言われており、見た目の通り納得できますが、「石」(「ごく」と読み、昔の領地の単位です)を「潰す」(悪いことをした為に召し上げられてしまう)存在という意味で使われていた言葉が次第に変化したものだという説もあるようです。
「穀潰し」の英語と解釈
穀潰しは、英語では“idler”と表現するのがいいでしょう。
この“idler”は、「怠け者」、「働いていない役立たず」などといった意味のある言葉で、充分に日本語の「穀潰し」の意味として使うことができます。
また、そのような人を指す為の“good for nothing”という独特の熟語表現があり、こちらも「何の役にも立たない」という意味で使われます。
強調して言いたい時にはこちらの方を使うといいかも知れません。
「穀潰し」の言葉の使い方
穀潰しは、身内以外にはまず使わない言葉です。
「働きもしないで(自分や他の身内によって提供される)無駄飯を食っている」という意味で使う言葉なので、それに該当するのは身内に限られるからです。
先にも書いたように、通常はそういった状態のだらしのない子供に対して親が使う言葉ですが、場合によっては、夫が(まともに家事をしない、たらけている)妻に対して使うようなこともあります。
「穀潰し」を使った例文・解釈
穀潰しを使った例文です。
悪い意味しかない言葉の為、例文もそのような指摘をするものばかりになります。
「穀潰し」の例文1
「うちの息子は全く働く気がない穀潰しだ」
穀潰しは、このように使われることが多い言葉です。
尚、子供のそういった状態を指す新語に「ニート」(学ばす、働かず、何の訓練も受けていない人たち)という言葉がありますが、多少意味合いが異なり、この「穀潰し」は子供以外にも使います。
「穀潰し」の例文2
「前の会社を辞めてから、すっかり穀潰し状態になってしまっている」
自分でそう気付いて使っている例になります。
人(主に身内)から指摘されるだけでなく、自らに対しても使える言葉です。
「穀潰し」の例文3
「穀潰しだと言われようが、働いたら負けだ」
何が負けなのか分かりませんが、一時期、前述のニートと呼ばれる人たちの間で流行っていた表現です。
むしろ、働かない方が負けだと考え方を改める必要がありそうです。
「穀潰し」の例文4
「穀潰しの亭主との離婚を考えている」
穀潰しは、夫が妻に対して使うこともあると書きましたが、その逆で、いわゆる「ぐうたら亭主」に対して使っています。
きつい言い方になる言葉ですが、いつまでもそう呼ばれても仕方ない状態であれば、叱咤の意味を込めて遭えて直接使ってもいいでしょう。