物事の重要な点を示す時に例えとして使われる言葉には「肝心」や「肝腎」があります。
かなり似ている言葉であり共通点も多いので、両方とも普段使いされる言葉です。
この記事では、「肝心」と「肝腎」の違いを分かりやすく説明していきます。
「肝心」とは?
「肝心」とは肝臓と心臓を示す熟語であり、これは五臓六腑でも非常に大切なものとなっています。
医学的にも重要なことから、その意味としては最も重要なものを示す時に使われます。
またこれが無くなると命の存亡に関わるということから、欠かせないものという意味もあります。
「肝心」は大切なものだけではなく、人や事柄にも使うことが可能です。
また心という漢字が使われていることから、深く感動や感銘を覚えるさまに対しても使われます。
この場合には類義語として「感心」があり、こちらの方がよく使用されます。
有名な熟語としては「肝心要」があり、これは非常に大切なものや要点を示す時に使われます。
こちらは「肝心」よりもさらに強い意味を持たせたい時に使われることが多いのが特徴です。
「肝腎」とは?
「肝腎」は「肝心」と同様に最も重要な点や欠かせないものを意味しています。
使われている漢字が違うこともあり、医学的な部分としては肝臓と腎臓を示すのですがこの2つも五臓六腑として非常に大切な臓器という共通点があります。
「肝腎」は元々古い時代に使われていたのですが、戦後に制定された当用漢字表や常用漢字表によって「肝心」へと置き換えられていきました。
現在では常用漢字表に「腎」が追加されたので「肝腎」も使用することが可能ですが、簡易的なものとして「肝心」の方が現在ではよく使われています。
「肝心」と「肝腎」の違い
「肝心」と「肝腎」の意味としては特に違う点がありません。
どちらも最も重要な点や欠かせない物事に対して使われますが、主に使われるのは「肝心」の方が多いのが特徴です。
東洋医学的な観点からの違いとしては、肝臓は精神的なものコントロールする機能を持ち、腎臓は生命力をコントロールする機能を持つという意味があり、「肝腎」の方も良く使われています。
「肝心」の例文
・『彼の存在はサークルにとって肝心要なものであったので、いなくなった後はしばらく混乱の時期が続いた』
・『旅行の準備が完了したと思ったら、肝心のパスポートを忘れるところだったので慌ててチェックしたのだ』
「肝腎」の例文
・『健康に肝腎なことは休肝日をしっかりと取ることであり、身体を労わることでしょう』
・『肝腎の事件現場には、刑事課でも最も切れ者な刑事が行き現場検証しているそうだ』
まとめ
「肝心」と「肝腎」はどちらも最重要なことや欠かせない物事を示す時に使う言葉です。
「肝腎」の方が若干古い言葉ですが、現在ではどちらの言葉も使うことが可能です。
肝臓、心臓、腎臓は五臓六腑として健康に欠かせないという語源から来ているのはどちらも同じという特徴があります。