「脚光」
この「脚光」は、元々演劇や舞台で使われていた言葉で、語源を聞くとそれが分かります。
それが今では普通に使われるようになり、ごく一般的な言葉となりました。
このような、元が舞台用語とも言える言葉から一般用語化した言葉は結構多く、「花道」などもそのいい例です(「引退の花道」などと普通に使われます)。
「脚光」の意味
脚光は、その人物や対象物が「注目」だと表現したい時に使います。
「脚光が当たる」、「脚光を浴びる」といった使い方になり、注目が集まるように光に照らされている様子という比喩表現になります。
この言葉は前項でも触れたように、元は舞台用語で、迫り(せり、舞台の足下)の部分から演技者を注目させる為に当てられる光のことで、その為、「脚」光という言葉となっています。
よって、本来の意味では、対象の人や物より下から当てられる光ということになりますが、一般用語としてはそのような意味は特になく、単に「注目の存在」に対して使う言葉です。
「脚光」の言葉の使い方
脚光は、それが「当たっている」、「浴びている」と使われることがほとんどです。
逆に、それが「当たらない」と使うことで、「注目されない(されていない)」という意味になります。
それを「浴びたい」と使うことで、「注目して欲しい」という表現になり、そのような使い方もよく見掛けます。
その他にも「当たってもおかしくない」(注目されてもおかしくない)などといったような色々な形で使える言葉です。
「脚光」を使った例文・短文(解釈)
脚光を使った例文や短文です。
それが「当たる」や「浴びる」という使い方が多い言葉ですが、単独でも使えないこともありません。
「脚光」の例文1
「あのメーカーの期待の新型車に脚光が当たっているようだ」
自動車の世界では、常に最新の技術が登場しているだけでなく、車自体も次々と新型のものが発売されています。
人気が出ずに発売が終わってしまう車種もありますが、人気車はグレードアップしながら次々とモデルチェンジを繰り返すことが多く、その都度脚光が当たることも少なくありません。
「脚光」の例文2
「先日発売された作品によって、この作家が脚光が浴びることになった」
それまでは無名に等しかった作家が、大ヒット作によって脚光を浴びることになったと言っています。
実際にもそのような例はとても多く、その為に直木賞や芥川賞といった大きな賞を狙っている作家が数多く居るのは周知の事実です。
それらの賞をとった作品は、各書店で大々的に宣伝されるので、それによって作家自身にも脚光が当たることになる訳です。
「脚光」の例文3
「ピカソに脚光が当たったのは彼の死後だと聞いた」
今でこそ、ピカソと言えば世界中で一流の画家として評価されていますが、独特の前衛的な画風は、存命中には評価されることはなかったと言われています。
このように、死後に脚光が当たる人物も決して少なくなく、日本でも田中一村という画家がそれに近く、死後に作品が高く評価され、今では「日本のゴーギャン」とも呼ばれているくらいです(そのゴーギャンもまた、死後に評価が上がった作家です)。
「脚光」の例文4
「仮想通貨に脚光!などと言われていたのは、もう一昔前だ」
脚光を「当たる」や「浴びる」とせず、単独で使っている例になります。
このような「〜に脚光!」といった形では、「それに注目!」と言いたいのだと解釈してください。
「〜に脚光が?」という形にすると、「注目されるかも?」という意味で使うことができます。
「脚光」の英語と解釈
脚光は、英語では“limelight”(ライムライト)と表現されますが、この「ライムライト」と日本で使うことはまずないでしょう。
それよりも、カタカナ語の「スポットライト」がとても近い表現なので、これが「脚光」の英訳だと考えている人も多いかも知れませんが、英語のこの“spotlight”は、「一部だけに照射する光」のことを指し、「脚光」とはまた別の言葉なので注意してください。