「臨む」
臨む(のぞむ)は、色々な使い方ができる言葉です。
同音の「望む」と混同されて使われることも多いので、しっかりとこの2つの違いを覚えておきましょう。
「望む」の方は使い方がほぼ1つしかない言葉ですが、こちらの「臨む」は先のように、使い方が広いのが特徴となっています。
「臨む」の意味
臨むとは、何かを「目の前にする」、または何かに「挑戦(参加)する」、「そこに行く」、更に、「そのようにする」という意味でも使える言葉です。
必ず何かしらのその対象と共に使われる言葉で、単独で用いることはできません。
「海を臨む部屋」と使えば、「海が目の前にある(それが見える)部屋」という意味になり、「大会に臨む」と言うと、「大会に挑戦(参加)する」ことが表現できます。
同音の「望む」の方は、原則的に「希望する」という意味でしか使わないので、そちらより使い勝手に優れている言葉だと言えるでしょう。
「臨む」の言葉の使い方
臨むは、上で挙げたような使い方や、比較的厳粛なことを行う際に使われる言葉です。
その行いとは「行動」だけでなく、何かの執行(実行)を表すこともあります。
「臨海学校」という行事がありますが、これは、海が臨める(それを目の前にして見ることができる)環境でのリクレーションや授業のことで、「臨む」と同じ意味で「臨」という漢字が使われている代表的な言葉です。
「臨む」を使った例文・短文(解釈)
臨むを使った例文や短文です。
様々な意味で使っているものを挙げていくので、この言葉の使い方や使える場面などがよく分かると思います。
「臨む」の例文1
「明日の山登りには万全な体勢で臨むつもりだ」
「挑戦する」の意味で使っている例になります。
このような場合には、「挑む」と言い換えてもいいでしょう。
観光地として有名な公園のような山ではなく、本格的な登山となると、それなりの準備の上で臨むべきでしょう。
特に夏場は平野部との気温の差なども考慮した上で、服装にも充分に注意しないといけません。
「臨む」の例文2
「100万ドルの夜景を臨むことができる部屋に泊まる予定だ」
「目の前にする」の意味で使っています。
この「100万ドルの夜景」とは、ご存知、香港の名物の1つで、音楽と共にそれが楽しめる「シンフォニー・オブ・ライツ」という名前のイベントが、基本的に毎晩開催されています。
尚、この「100万ドル」とは、一般には「その夜景にそれだけの価値がある」という意味だと言われていますが、実際にはその夜景を演出するのに掛かる(と推測される)電気代から、いつしかそのように呼ばれるようになったそうです(諸説あります)。
「臨む」の例文3
「凶悪事件には、厳罰をもって臨む他ない」
「そのようにする」として使っている例です。
「執行する」と解釈でき、「臨む」の意味の範囲の広さが分かります。
他にも「誠意をもって臨む」といった使い方などが、これと同様の意味で「臨む」を使っている例として挙げられます。
「臨む」の例文4
「そろそろ会見に臨む時間だ」
この使い方では、単に「そこに行く」という意味だと考えていいでしょう。
こういった使い方では謙譲表現にすることもでき、誰かが「会見に臨まれる」と使うと、その人が「会見に行かれる」と表現するのと同じ意味になります。
ただし、そのような言い方は、対象が(自分にとって)かなりの人物でないとあまり使いません。
会社であれば社長クラス、または誰が見ても社会的な地位が高いような人物の場合にのみ使います。
その為、「社長が会見に臨まれる」、「大臣が先ほど会見に臨まれた」などという形以外では、無理に使わない方がいいでしょう。