テレビや映画などで見る物語は、事実のドキュメンタリーやノンフィクションでない限り、ほとんどは作られたもので、「架空」の話です。
したがって、話の展開は作品としての面白さを基準にして決められます。
ここにこそフィクションの良さがあります。
それでは「架空」とはどう言う意味でしょうか。
また、「虚構」との違いはどこにあるのでしょうか。
この記事では、「虚構」と「架空」の違いを分かりやすく説明していきます。
「虚構」とは?
「虚構」とは、文字通り「虚しく構築されたもの」という意味です。
ここでいう「虚しく」は、何もないところという意味なので、通常は「緻密に作り上げられたものだが、本当には存在しないもの」というニュアンスで使われる事が多い言葉です。
英語では「fiction」が近いのですが、「fabrication」を使うとデマのニュアンスが付け加えられてより適切な場合もあります。
「架空」とは?
「架空」とは、「本当のように作られた嘘の話」という意味ですが、元々は「空中に架けられたケーブル」のことを意味する言葉です。
その意味から派生して「何もないところに作られたストーリーライン」ということを表すようになりました。
つまり、事実とは関係ないものを作り上げることが「架空」のものを作り上げる作業になります。
英語では、やはり「fiction」です。
「虚構」と「架空」の違い
「虚構」と「架空」の違いを、分かりやすく解説します。
この2つの言葉はともに「実際には存在しないもの」を意味すると言う部分では同じですが、違うところが2つあります。
まず、細かいニュアンスの違いですが、「虚構」が「建築物のように組み立てられたものである」と言うニュアンスを持つのに対して、「架空」は「何もないところに何かを作り出す」と言う方に重心があります。
この違いによって、感覚的には「虚構」の方により緻密さを感じることになります。
また、もう一つの大きな違いは「虚構」が名詞として使われる事が多いのに対して、「架空」は、ほとんどのケースで「架空の」と言う形容詞として使用されると言うことです。
「虚構」の例文
「虚構」の例文は以下のようになります。
・『アイドルという作り上げられた虚構に観客は歓喜しているのです』
・『大病院は、一時白い巨塔と呼ばれたように、実際には存在しない虚構の上に成り立っていたとも言えます』
「架空」の例文
「架空」の例文は以下のようになります。
・『このお話は架空の物語なので、結末は主人公の都合の良いものになっています』
・『SF映画は架空の話として見る事が観客にも強要されます』
まとめ
この記事では、「虚構」と「架空」の違いを、解説してきました。
テレビドラマや映画において「架空」の物語を作り上げるのは、一般的には原作者や脚本家の仕事ですが、最終的に目に見える形にするのは監督や演じる役者たちなので、「架空」の物語をいかにリアルにするかはその人たちにかかっています。
ファンタジーやSFで無い普通の物語においては、観客は、それが「架空」であることは承知の上で、やはりリアルな話であることを期待しているのです。