素晴らしいものを見たときに、思わずため息や歓声をあげた経験はありませんか。
このような感動を表現する言葉として、よく使われるものに「詠嘆」と「感嘆」があります。
いずれも、思わず感動して「声が漏れる」、「ため息をつく」という意味があります。
しかし、この二つの言葉には、少しばかりニュアンスの違いがあります。
この記事では、「詠嘆」と「感嘆」の違いを分かりやすく説明していきます。
「詠嘆」とは?
「えいたん」と読みます。
深く感動することや、感動し深く心に感じたことを、声や言葉に出して表現することを言います。
「詠嘆」の使い方
「詠嘆」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『秋の嵐山では、多くの人が紅葉の美しさに、「詠嘆」しているさまを目にします』
・『子供ながら、遠くまで響く素晴らしい歌声に、観衆は「詠嘆」の声をあげました』
・『見事な演技が披露され、会場は「詠嘆」のため息に包まれました』
「感嘆」とは?
「かんたん」と読みます。
感心してほめたたえることです。
素晴らしいさまに心から感じ入る気持ちを表しています。
また、嘆き悲しむときに使用する場合もあります。
「感嘆」の使い方
「感嘆」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『少しもあきらめる気配のない、あの熱意には「感嘆」します』
・『音楽会では、保護者たちが生徒の演奏の出来栄えに「感嘆」の声をあげた』
・『彼の料理を食べたことがありますが、感嘆おくあたわざる究極の逸品でした』
「詠嘆」と「感嘆」の違い
それでは「詠嘆」と「感嘆」の違いを、改めて整理してみましょう。
いずれも「心から感動する」「深く感心する」という共通の意味を持っています。
「嘆」という字には「ため息をつく」という意味があり、あまりの素晴らしさに声やため息が思わずでてしまう様子を表しています。
しかし感動の表現の仕方とニュアンスに少しばかり違いがあります。
「詠嘆」の「詠む(ながむ・よむ)」という字は、声を長くひいて詞歌をうたったり、文章や経文などを、1字ずつ声をたてて唱えたりするさまを表しています。
よって感動を「表に出す」、「声に出す」というニュアンスを強く持ち、ため息をついたり、素晴らしいさまを声に出して称えたりするときに使用するのがふさわしいといえます。
胸の内に秘めて感動するときは使いません。
一方「感嘆」は声に出して感動を表現するだけでなく、静かに黙って感動するときにも使われます。
いずれも素晴らしいさまに、ため息や声を出して感動するのは同じですが、「詠嘆」は「音が立つ」「声が漏れる」イメージがあり、「感嘆」は、幅広いシチュエーションで使用される、汎用性の高い言葉です。
まとめ
この記事では「詠嘆」と「感嘆」の違いをみてきました。
どちらも「感動する」ときに使われる大切な言葉ですが、「感動を表すのに、どのていど声や音がたてられているのか」「静かに感動しているのかどうか」という違いがあります。
ニュアンスの違いを正しく理解して、適切に使い分けるようにしてください。