この記事では、「貧乏神」と「疫病神」の違いを分かりやすく説明していきます。
「貧乏神」とは?
「貧乏神」【びんぼうがみ】は、とりついた相手を貧乏におとしいれる神のこと。
または、人を貧乏に導く存在の例えに使われる言葉です。
日本では古くから、ある家に「貧乏神」がすみつくとその家が貧乏になると信仰されてきました。
古くは、室町時代にはすでに「貧乏神」という言葉が存在していました。
風貌はやせこけた老人の姿で、鉱物はなまけ者と味噌だといわれています。
人の家の押し入れにすみつきますが、囲炉裏の火を焚くと姿を現すと信仰されています。
ただし、決して悪い神様ということではなく「不幸から転じて幸福をもたらす神」として、日本の各地で信仰され続けています。
自ら貧乏を導くような人の例えにも用いられ、金運の悪い人を「貧乏神にとりつかれている」と言ったり、ネガティブで自分から成功を遠ざけるふるまいをするタイプを「貧乏神にとりつかれやすい人」と例えて言ったりしています。
「疫病神」とは?
「疫病神」「やくびょうがみ」とは、世の中に災いや疫病を運ぶ神のことです。
また、不幸を運んでくるものの例えとして使われる言葉です。
医療が発達していなかった頃は、病気は悪霊や悪魔のような存在がもたらすものだと信じられていました。
日本では「鬼神」が疫病をもたらすと考えられ、転じて民衆の間で疫病は「疫病神」が流行させるのだと信仰されるようになりました。
「疫病神」は人から見えない存在であり、時に老人のような姿で出没してはその地域に疫病を流行させるのだともいわれてきました。
医療が進歩した現代でも、疫病退散を願う神事やおまじないは変わらずおこなわれています。
また、ものの例えとしては災いを運んでくる存在を疎ましく思って「疫病神」と表現することがあります。
「貧乏神」と「疫病神」の違い
「貧乏神」と「疫病神」の違いを、分かりやすく解説します。
「貧乏神」はとりついた相手や家を貧乏にする神、または人を貧乏にする人やもののこと。
「疫病神」はとりついた人や地域に疫病をはやらせる神、または災いを運んでくる人やもののことです。
どちらの神も、古くから人を不幸にする存在として恐れられてきました。
疫病神は悪神ですが、貧乏神は最終的に富や幸せを運んでくる神として大切に扱われる場合もあります。
「貧乏神」や「疫病神」は妖怪のような見えない存在です。
おそらく実在しないのだと分かっている現代でも、全国各地で信仰され、定期的に神事がおこなわれています。
なお、言葉自体はネガティブな意味が強く、「貧乏神」も「疫病神」も人が例えとして呼ばれるのは決して良いことではありません。
まとめ
どちらも不幸をもたらす存在に変わりなく、互いによく似ている印象を受けますが、特徴は異なります。
「貧乏神」は人を貧乏にする神で「疫病神」は病気や災いを呼ぶ神という違いを覚えておきましょう。