おとすというのは何かを下げるというニュアンスから悪い言葉に使われがちです。
おとすという音が入った言葉も幾つかあり、その中には「貶める」と「陥れる」のような、音は似ているものの意味は全く違う言葉もあるので注意が必要でしょう。
この記事では、「貶める」と「陥れる」の違いを分かりやすく説明していきます。
「貶める」とは?
「貶める」は「おとしめる」と読み、相手を自分より下の存在として見下し、馬鹿にすることを指します。
またそういった能力や価値の劣るもの、つまらないものだと周囲に知られることで評価や評判を下落させることも「貶める」です。
意図的に欠点を知らせて回ることで他者を「貶める」こともあれば、品性のない行動で知らない内に自分の価値を「貶める」こともあります。
そのため前者の相手を見下す形の「貶める」は意図的なことですが、後者の評判を下げる形の場合は、意図的とは限りません。
どちらの意味にせよ、相手を自分と比べて下に見る、それ以前と比べて評価を下げるなど、評判や品格を下に置く事が「貶める」ことにあたります。
「陥れる」とは?
「陥れる」は「おとしいれる」と読み、相手を罠や策略にかけて、逃げ場のない苦しい状況や立場へと追い込むことです。
そう言った計略は、他人を失敗させることで地位や評判を引きずり落とす目的をもってする行為なので、名声を落とし失脚させるという結果を指して「陥れる」ということもあります。
ただし主な使い方は相手を窮地に追いやることなので、評判ではなく相手の状況を悪い状態にすることを指すのが基本的な使い方です。
「陥れる」ことも基本的には意図的な行動ですが、深く考えずに相手の不利になる言動をしてしまい結果として「陥れる」形になることもあるので、絶対に意図的な行動とは限りません。
「貶める」と「陥れる」の違い
「貶める」と「陥れる」は相手の何をおとすのかが違います。
「貶める」は評判や評価など、自分や他人から見た相手の価値を落とすことで、「陥れる」は相手を逃げ場のない窮地へと、状況的な意味で落とすことです。
相手をどのように見ているかも違い、「貶める」は相手が自分より下にあると見なしている時だけに使われます。
しかし「陥れる」場合は相手を下に見ているとは限らず、自分と対等や上の立場にいる認識している相手を「陥れる」こともあるでしょう。
また自分の意識していない行動に対して使うかどうかも違い、無意識の内に自分の評価を「貶める」ことはありますが、自分の行いで苦しい状況へと追い込まれた場合は「陥れる」とは言いません。
まとめ
「貶める」ことでも「陥れる」ことでも結果として相手の評判や地位が落ちることはありますが、何を手段や原因、過程としていたかが違います。
欠点や難点などの悪評が広まったことが原因なら「貶める」を、罠などで窮地に追い込まれてその失策の結果成り下がったなら「陥れる」を使うべきです。