子煩悩な父親が娘の彼氏をくさして言うときの定番の表現に「馬の骨」という言葉があります。
ドラマや映画ではよく耳にしますが日常生活ではまず使う機会のないこの言葉、正確にはどういった意味なのでしょうか。
今回は、「馬の骨」の意味と類語について解説します。
「馬の骨」とは?意味
「馬の骨」とは、「素性のはっきりしない人間」という意味の言葉です。
「馬の骨」の概要
一般的には罵倒や侮蔑の際に用いられる言葉で「どこの誰ともわからない信頼出来ない人間」という意味合いで使われています。
昔の日本は「家社会」が根付いていました。
「家社会」において個人に対する信頼を担保しているのは一族や郎党といった「家」の信頼であり、個人の能力や人間性がどんなに優れていても背景となる「家」がはっきりしていない人間はそれだけで信頼に欠ける人間とみなされました。
「馬の骨」とは「家社会」における「家」のように「後ろ盾や出自などその人の信頼を担保するはっきりした素性がない人間」を罵るときに使われる言葉です。
由来には諸説ありますが馬の骨は大きくて丈夫な割に役立てる方法がなく使いものにならないことから「役立たず」という意味で使われるようになりました。
古代中国では役に立たないものを例えた「一に鶏肋二に馬骨」ことわざもあったほど「馬の骨」といえば役に立たないものというイメージが定着していました。
「役に立たないもの」という意味から転じて「必要とされない者」と人に対して使われるようになり、現在の意味である「どこの誰かもわからない人間」という意味に転じていったとされています。
現在では「見たことも聞いたこともない人」「あったことのない人間」「よく知らない者」といったような意味で使われることが多く、どこか不快感を感じていたり認めていない人に対して用いられる表現です。
「馬の骨」の言葉の使い方や使われ方
・どこの馬の骨かもわからない人間に大切な娘を嫁がせるわけにはいかない。
・取るに足らない用事なのだから何処ぞの馬の骨にでもやらせればいい。
・噂を信じているのは馬の骨だけだ。
・馬の骨扱いしていたがメキメキと頭角を現してきたので認識を改める。
「馬の骨」の類語や言いかえ
・ごろつき
「素性の悪い人間」という意味の言葉です。
定職や住まいを持たずぶらぶらしながら悪さをしている人間を指す言葉で「馬の骨」よりも悪の度合いが強い悪人寄りの人間を指します。
・俗物
「俗世間にまみれ欲ばかりで人情の機微を介さない人」という意味の言葉です。
人としての魅力や価値が低いという点が「馬の骨」都の類似点です。
「馬の骨」は素性がよくわからないことを侮蔑する表現ですが、こちらは素性がわかっていながら信用に値しない場合に用いられます。
・得体が知れない
「正体がはっきりせず気味が悪い」という意味の言葉です。
身元や素性だけでなく本性や本心など人としての考えや内面がわからない場合にも使われます。
「馬の骨」よりもさらに不信感が強い場合に用いられる表現です。
まとめ
日常ではあまり使わない「馬の骨」という言葉ですがフィクションの世界では定型文のように登場します。
言葉の意味を知っていないと理解できない場面も多いのでこの機会に正しい意味を覚えておきましょう。