時代劇などを見ていると「ひもじい」と「ひだるい」などの、昔っぽい表現に出会うことがあります。
この記事では、「ひもじい」と「ひだるい」の違いを分かりやすく説明していきます。
小さな差を正しくおさえて、日本語の奥ゆかしさを楽しんでみましょう。
「ひもじい」とは?
ひもじいとは、お腹が空いてたまらないことを指した言葉です。
何も食事を取っていなく、胃の中も空っぽ。
みじめで寂しい様子をあらわしています。
もともと「ひもじい」は歌舞伎や浄瑠璃の中で使われていた言葉です。
有名な歌舞伎の演劇の中には「武士の子どもはたとえお腹が空いたと感じても、決してひもじくは無いから」という会話も出てきます。
この場合のひもじいは、体はもとより心まで飢えてしまった状態をあらわしています。
「どんなに貧乏な暮らしになったとしても、決して心まで落ちぶれてしまってはいけないよ」と説いているのです。
コンビニが24時間オープンしている日本では、滅多なことでは「ひもじい思い」をすることはありません。
食べ物があふれている現代だからこそ、時には満腹になれるありがたみを感じてみたり、豊かな心のあり方に思いを寄せてみたりするのも必要だと思います。
「ひだるい」とは?
ひだるいとはお腹が空いて体の力がまったく入らない、弱々しい様子をあらわした言葉です。
漢字で書くと「饑い」と記します。
饑という漢字には、心身ともに疲れてしまったというニュアンスも含まれています。
ご飯を食べたいと思っているのに、一向に食事の席に付けない…。
エネルギーが枯れてしまうので、気力も体力も無くなってしまいます。
一方で「ひだるい」には欲望が満たされていない、不満な状態をあらわす意味もあります。
欲望の中には三大欲求でもある睡眠欲と性欲、そして食欲がふくまれます。
そのため「ひだるい」は単なるご飯を食べられない状態だけでなく、きちんと眠れなかったり性的な欲求が満たされていなかったりなどの、日々が上手くいっていないというニュアンスも入ります。
「ひもじい」と「ひだるい」の違い
よく似た言葉であるものの、フタを開けてみると大きな違いも感じられるのが「ひもじい」と「ひだるい」です。
「ひもじい」と「ひだるい」の違いを、分かりやすく解説します。
・食べられないはひもじい、満たされないはひだるい ひもじいもひだるいも、基本的には「ご飯が食べられず飢えている状態・心がまずしい状態」を指した言葉になります。
ひもじいは空腹であることを主張した言葉ですが、ひだるいには睡眠や性欲など「その他の欲望も満たされていない」という意味もふくまれます。
生活全般がうまくいっていないと感じる場合は、ひだるいを使います。
まとめ
「ひもじい」と「ひだるい」の違いをまとめてお伝えしました。
どちらもとても良く似ている言葉になりますが、少しだけ内容が異なってきます。
ひもじいはお腹が空いて苦しい状態のこと。
ひだるいはお腹が空いて力が入らない状態に加えて、眠れなかったり性欲が満たされていなかったり、心に何か不満をかかえている状態を指しています。
違いを知って、日本語の深さを体感していきましょう。