徳のある人を例えるときに「人徳」や「仁徳」の熟語を用いることもあります。
この記事では、「人徳」と「仁徳」の違いを分かりやすく説明していきます。
高尚なフレーズを覚えて、文章の達人になっていきましょう。
「人徳」とは?
人徳(じんとく)とは、その人に備わっている徳のこと。
普段あまり耳にしない「徳」とは、人として進むべき道です。
いわゆる誰かに後ろ指をさされない、模範的な生き方のことです。
ちなみに「人徳」は儒学の祖といわれる、孔子の教えのひとつです。
孔子は「徳のある生き方」を生涯とおして唱えていました。
これに影響を受けたのが、日本のビジネスの礎を築いた渋沢栄一です。
渋沢栄一は「人徳があるからこそ、正しいおこないができ、正しく経済がまわる」と考えていました。
自分の利益ばかり追求していては、会社としては発展しないと理解していたのです。
最近は渋沢栄一の言葉に影響を受けて「人徳」を社訓にする会社も増えています。
この場合の人徳は、私的な欲だけにとらわれずに、社会の発展のためにがんばることを指します。
人徳は色々な人の生き方に影響をあたえる、とても深い言葉です。
「仁徳」とは?
仁徳(にんとく)とは、思いやりや優しさのこと。
誰かを気遣う、温かいハートを指します。
困っている人に対して、深い愛を注ぎたいときにも用います。
仁徳の心を持っていたといわれるのは、江戸幕府を築いた徳川家康です。
気性が荒かった織田信長が「鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス」と唱えたのに対して、優しく温和な徳川家康はこう呟きました。
「鳴かぬなら、泣くまで待とうホトトギス」。
これは気品のある生き方を大切にした、徳川家康の人柄をよく伝えているエピソードです。
家康が重んじていた「仁徳」には、相手の立場を考えるという意味があります。
こちらの一方的な主張を押し通してばかりいては、うまくいく物もうまくいかないと考えるのが「仁徳」です。
ときには我慢強く待って、相手により沿うことも大切。
「仁徳」は生き急ぐ私たちに、大切な信条を教えてくれています。
「人徳」と「仁徳」の違い
どちらも「徳」が付いているので、読み方をふくめて間違えやすい言葉です。
「人徳」と「仁徳」の違いを、分かりやすく解説します。
・「人徳」の中に「仁徳」がある
どちらも人としてあるべき姿や、生き方を伝える言葉です。
お手本とすべき、道徳的な態度になります。
線引きがとても難しいのですが「人徳」というカテゴリーの中に「仁徳」があると考えると想像が付きやすいです。
人徳は品性があること。
人として正しい行いのことです。
仁徳は人徳の中でも、とりわけ「思いやり」にスポットを当てたものです。
人徳について詳しく語ったときに「仁徳」が出てきます。
まとめ
「人徳」と「仁徳」の違いを分かりやすくお伝えしました。
どちらも人としての器の大きさをあらわす、寛大な言葉になります。
人徳は、徳を積んでいること。
仁徳は思いやりのことです。
区別を正しくつけて、徳のある豊かな人生を歩んでいきましょう。