文章を手書きでなく、入力して書く人が増えてきました。
それに合わせて漢字の変換ミスも頻繁にみられるようになりました。
漢字変換機能を使い、あまり馴染みがない字や、用字でない字も簡単に選択できるようになったのが理由です。
書けないが、読める字があなたにもあるでしょう。
しかし中には使い方をよく分かっていない字も多いのではないでしょうか。
「研ぐ」と「砥ぐ」はその代表例といえます。
この記事では、「研ぐ」と「砥ぐ」の違いを分かりやすく説明していきます。
「研ぐ」とは?
「とぐ」と読みます。
次のように4つの意味があります。
A. 玉・金属などをみがいて光沢を出すこと。
B. 刃物などを砥石ですって鋭くすること。
C. 水中でこすって洗うこと。
D. 心などを練磨して立派にすること。
いずれも、曇ったものや、ざらざらしたものを、磨いたり、こすったり、削ったりして、本来の輝きを与えることを示しています。
「磨ぐ」と書くときもあります。
「研ぐ」の使い方
「研ぐ」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『先祖は昔あの神社で、鏡を「研ぐ」役割だったと聞きました』
・『戦士は家宝の刀を「研」いで、戦いにのぞみました』
・『しっかり包丁を「研が」ないと、切れ味が悪くていらいらします』
・『おばあさんは、慣れた手つきでお米を「研ぎ」ました』
・『神経を「研ぎ」澄まし、大事にあたりました』
「砥ぐ」とは?
「とぐ」と読みます。
おおむね意味は「研ぐ」と同じですが、「砥ぐ」は刃物を鋭くするときにのみ使われます。
何かを研ぐには「砥石」や「革砥」など、道具が必要になりますが、その「研ぐ」道具を「とぐ」ときに使われる言葉が「砥ぐ」です。
「砥ぐ」の使い方
「砥ぐ」が使用される代表的な例文をみてみましょう。
・『遺跡の発掘調査では、砥石を「砥いだ」跡がみつかりました』
・『革砥も研磨剤が詰まってくるので、ときどきブラシで「砥ぐ」ようにこすって手入れしてください』
「研ぐ」と「砥ぐ」の違い
それでは「研ぐ」と「砥ぐ」の違いを、改めて整理してみましょう。
「研ぐ」は刃物だけでなく、鏡や金属、米、心など多くの対象に使われます。
とくに「精神」や「心」など、目に見えないものに対しても比喩的な使われ方をするのは、大きな特徴です。
一方、「砥ぐ」は「砥石」や「革研(皮研)」など、対象が限られています。
「とぐ」と入力すると、漢字変換で簡単に「砥ぐ」の文字がでてくるので、うっかり使う人もいるかもしれません。
しかし「砥ぐ」はめったに使わない表現です。
よって、迷ったときは「研ぐ」を選ぶ方が無難です。
まとめ
こちらの記事では「研ぐ」と「砥ぐ」の違いをみてきました。
ほとんどが同じ意味ですので、使用の仕方を混同しやすいのですが、「砥ぐ」は砥石など、使える対象が限られていると覚えてください。
対象が何であるかを意識して、正しい使い分けをするようにしましょう。