江戸時代の歴史を学んでいると、頻繁に出てくるのが「百姓一揆」とか「打ちこわし」という事件です。
身分制度が厳然との残っていた時代には、立場の弱い人間が虐げられるのが世の常なので、実質的な弱者であった農民は、我慢できずに蜂起するようなこともあったでしょう。
この中で出てきた「百姓一揆」や「打ちこわし」ですが、どんな意味でしょうか。
また、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、「打ちこわし」と「百姓一揆」の違いを分かりやすく説明していきます。
「打ちこわし」とは?
「打ちこわし」とは、主に江戸時代に起きていた、農民による米を求めた武装蜂起のことです。
当時、災害や飢饉、病気などによって米の収穫量が下がると、優遇されていた立場で、資金も持っていた商人が米を買い占めました。
それによって、さらに米は無くなり、農民たちは生きてゆくことが危ぶまれる状態に陥ってしまいました。
どうしようもなくなった農民たちが団結して決起し、米が保管されていた蔵などを襲って、米を強奪する事件のことを「打ちこわし」と呼んだのです。
「百姓一揆」とは?
「百姓一揆」とは、江戸時代に起きていた、農民による待遇改善のための武装蜂起のことです。
当時、弱い立場として虐げられていた農民たちは、度重なる年貢の上昇と、厳しい取り立てによって生きてゆくことも困難な状況に陥り、結局は団結して決起し、農具などを武器として為政者の住宅等を襲いました。
そのことを「百姓一揆」と呼びました。
「打ちこわし」と「百姓一揆」の違い
「打ちこわし」と「百姓一揆」の違いを、分かりやすく解説します。
2つとも、「江戸時代に農民によって起こされた騒動」であることは同じです。
違いは、何が原因になったかということと、攻撃対象は誰かということです。
「打ちこわし」の原因は、豪商の買い占めによって米が手に入らなくなることで、「百姓一揆」の主な原因は、強制的な年貢の取り立てです。
そして、「打ちこわし」の攻撃対象は、米を買い占めていた商人で、「百姓一揆」の攻撃対象は、為政者です。
「打ちこわし」の例文
「打ちこわし」の例文は以下のようになります。
・『江戸時代に頻発した打ちこわしによって、有力な商人が襲撃されました』
・『打ちこわしは、食べるものが亡くなった農民にとって、残されたたった一つの方法でした』
「百姓一揆」の例文
「百姓一揆」の例文は以下のようになります。
・『当時の為政者の無策によって、貧困に喘いでいた農民たちは、百姓一揆によって事態の改善を求めました』
・『百姓一揆に参加した農民たちは、鋤や鍬などの農具を使用しました』
まとめ
この記事では、「打ちこわし」と「百姓一揆」の違いを、解説してきました。
江戸時代当時、虐げられていた農民にとって、自分たちや家族が生きてゆくために「農民一揆」や「打ちこわし」のような形を取らざるを得ないこともあったでしょう。
身分制度のない現代においては、さすがにこのようなことは起こりませんが、虐げられた人々の思いはSNSやネットを通じて公に発信され、多くの人々を動かすこともあるのです。