似たような意味で紛らわしい言葉として「事前」と「未然」があります。
このふたつは同じ意味だと思い込んでいる方も少なくないのですが、実は明確に区別された別の言葉です。
いったいどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、「事前」と「未然」の違いについて解説します。
「事前」とは?
「事前」とは、「予定している出来事よりも前」を指す言葉です。
もう少し具体的に説明すると「あらかじめ起きることが予定されている出来事の時間的前」が「事前」です。
スケジュールとして今後予定されている出来事に対してそれよりも時間的に前を指しており、そのようなことが起きる確率がかなり高く確定的である未来の出来事に対して使われる表現です。
仕事の約束や学校の行事などはあらかじめスケジュールが組まれており実行される可能性がかなり高い出来事です。
そのような未来の出来事を基準としたときにそれよりも前の時間のことを「事前」と表現します。
基準となるのは明確な行動やイベントなどの出来事であり特に予定がない漠然とした未来、例えば日曜日から見た水曜日などを基準に「事前」という表現を使うことは通常ありません。
「事前」の使い方
・運動会の事前準備のために授業が終わったら高低に集合することになっている。
・登山に備えて事前に遭難保険に加入しておく。
・ホテルを事前に予約しておくと割引が適用される。
・事前に現地のことを調べておいたので到着してから迷わずに目的地に到着した。
「未然」とは?
「未然」とは、「まだ何事かが起きる前」という意味の言葉です。
未来の出来事を指す言葉ですがより具体的に説明すると「将来起きる可能性のある出来事に対しそのようなことになる前」を「未然」と表現します。
未来は常に不確定的であり予想されることが起きるかもしれないし起きないかもしれません。
そのような「可能性のある未来を想定したときのそれよりも前の時間」が「未然」です。
可能性としての未来なので現在における判断や行動によって変化するものであり、そのような変えられる未来を想定したとき使われるのが「未然」という表現です。
現在を基準にした時の未来の表現なので何かが起きてしまった後に過去を振り返って「未然」という言葉を使うことはありません。
「未然」の使い方
・大統領の尽力によりクーデターは未然に防がれた。
・誘拐を未然に防ぐための取り組みを地域ぐるみですすめる。
・ボヤのうちに消化され、貴重な文化財の焼失は未然に防がれた。
・水質汚染の未然防止のために浄化装置の設置を義務付ける。
「事前」と「未然」の違い
「事前」と「未然」の違いは「出来事の確度」です。
「事前」は高い確率で未来に起こる出来事を基準にしたときのそれよりも前の時間を指す言葉です。
「誘拐される」など可能性はあっても確率が低い出来事には使いません。
「未然」は可能性はあるが起きるかどうかわからない出来事を基準にした基準にしたときのそれよりも前の時間を指す言葉です。
不確定な未来に対して使われる言葉なので「朝日が昇る」など確実に起こる未来に対しては使われません。
予定がはっきりしている場合は「事前」、起きるかどうかはっきりしない場合は「未然」特別されています。
まとめ
「事前」と「未然」ははっきりとした違いで使い分けられています。
かなり混乱しやすいですがきちんと理解して使いこなせるように正確な意味を知っておきましょう。