ものの状態や様子を表す言葉には似たような表現が多々見られますが、違いがわかりにくい表現として「緩やか」と「なだらか」があります。
このふたつはどちらも同じような状態をさして使われる言葉ですがどこに差があるのでしょうか。
今回は、「緩やか」と「なだらか」の違いについて解説します。
「緩やか」とは?
「緩やか」とは「変化の程度が小さくゆっくりであること」という意味の言葉です。
「緩やか」は主に傾きや傾斜の程度を表す際に使われる言葉です。
坂や階段などの角度が急ではなく傾きがゆっくり出る状態をさして「緩やか」と表現します。
「緩やか」はデータの変化を表すグラフに対しても使われる言葉です。
変化がゆっくりでグラフに表したときに傾きが小さい状態を指して「緩やか」と表現します。
グラフの傾きかから転じて消費量や売上などの次官による変動が小さいことを「緩やか」とも表現します。
具体的な基準などはなく主観で判断されるものなのである人にとっては「緩やか」であっても他の人にとっては「緩やか」ではないということもあります。
例えばスキー場の中級者用ゲレンデは上級者からすると「緩やか」ですが、初心者にとっては難易度の高いコースであり「緩やか」ではありません。
「緩やか」の使い方
・緩やかに傾斜している坂を下る。
・初心者用ゲレンデはかなり緩やかで安心して滑れる。
・米の消費量が緩やかに減少している。
・緩やかなカーブでもしっかり減速しないと危険だ。
「なだらか」とは?
「なだらか」とは、「平らに近いくらい傾斜の程度が小さいこと」を指す言葉です。
「傾斜はあるがそれほど気にするほどではなく平らであるように整っている」様子を指す言葉が「なだらか」です。
もともと日本語には「角がなく滑らかで平らであるさま」という意味を持つ「なだら」という言葉があり、「なだらか」は「なだら」から派生した言葉です。
傾斜の程度が小さいことに加え「表面に凸凹がなく全体的に平らである」という様子を強調しています。
傾きが小さくでも岩や穴ぼこが多く凸凹だらけの状態の場合は「なだらか」とは言いません。
「なだらか」の使い方
・なだらかな草原が広がる。
・登山道はふもとまでなだらかに続いている。
・鏡の表面を磨き上げてなだらかに仕上げる。
・その男はなだらかな口調で話を続けた。
「緩やか」と「なだらか」の違い
「緩やか」と「なだらか」の違いは「変化の程度」です。
「緩やか」は変化があるがその程度が小さく傾斜がそれほどでもない時に使う表現です。
「なだらか」は平らに近く変化があまり気にならない時に使う表現です。
「緩やか」は多少の変動やばらつきはあるものの全体で見れば傾きが小さい様子を指し、「なだらか」は平らに近いほど変化が少なく整っている様子を指します。
変化を強調しているのが「緩やか」、平らであることを強調しているのが「なだらか」という違いで区別されます。
まとめ
「緩やか」と「なだらか」はとても良く似た意味の言葉ですが厳密に意味を追求していくと細かい部分ではっきりとした違いがあります。
きっちり区別して使い分けるのは簡単ではありませんがつかいこなせるようにそれぞれの意味を細部まで理解しておきましょう。