「後塵を拝する」とは?意味や使い方を解説

ことわざ・慣用句

「後塵を拝する」

「後塵を拝する」「こうじんをはいする」と読みます。

この言葉で多いのは書き間違いで、「黄塵」と書かない様に注意しましょう。

「後塵を拝する」の意味

「後塵を拝する」の意味や由来について紹介します。

「後塵を拝する」の意味

「後塵を拝する」の意味は、以下の2つがあります。

1つ目は「他人に先を越されること」「人におくれを取ること」という意味です。

シンプルに言えば「敗北すること」で、自分より先に誰かに手柄を立てられてしまい、その後ろから自分が「羨ましい」と思いながら見つめている様子を表しています。

2つ目は「権力のある人や身分の高い人に従うこと」「こびへつらうこと」という意味です。

自分の身分や役職を維持する為に、偉い人の側で言いなりになっている様な人を指します。

「後塵を拝する」の由来

「後塵を拝する」「黄塵+を(助詞)+拝する」が組み合わさってできた言葉です。

「後塵」とは「馬車が通り過ぎた後に舞い上がる土ぼこり」のことで、「塵」「ちり」という意味です。

「拝する」とは「ありがたいと思いおがむ様子」のことです。

この言葉は中国の書物である「晋書(しんじょ)」から来ています。

「当時の権力者である広城君(こうじょうくん)が馬車で外出する度に、石崇(せきすう)という部下が道の左端により、舞い上がる塵に向かって拝礼をして見送った」というものです。

偉い人にへつらう石崇(せきすう)の態度を、周囲の人達が冷やかに見ていたことを表しています。

直訳すると「偉い人の乗った馬車の土ぼこりをありがたく拝む」ということで、上記のうちの2つ目に当たります。

しかしそこから転じて「先を越される」「おくれを取る」という1つ目の意味で使われる様になり、現在ではこちらの意味の方が多くなっているのです。

「後塵を拝する」の言葉の使い方

「後塵を拝する」の使い方には以下のポイントがあります。

相手に対して嫉妬している時に

相手ではなく「通り過ぎた馬車の土ぼこり」を拝むのですから、本人にとっては屈辱である筈です。

「後塵を拝する」を使うのは、相手に対して嫉妬心やライバル心を感じている時が多くなります。

相手に対してこびている人に

自分より偉い人にはペコペコしていて何でも言うことを聞きながら、同レベルの人や目下の人には見下した様な態度を取る人に使われます。

この場合は相手の態度を悪い感情を持っていることを表しているので、本人の耳に入らない様にした方が良いでしょう。

良い意味で使う場合もある

「後塵を拝する」は、「偉い人の後を追う」という解釈になることもあります。

この場合は相手を尊敬している意味が含まれているので良い意味で使われます。

「後塵を拝する」を使った例文・短文(解釈)

「後塵を拝する」を使った例文と解釈を紹介します。

「後塵を拝する」の例文1

「彼は出世が遅れて後輩の後塵を拝する羽目になった」

会社ではよくあることですが、仕事ができずに出世が遅れた場合、後輩の方が優秀で先を越されてしまうことがあります。

いつの間にか後輩が自分の上司になっていて、肩身の狭い思いをしている様子を表しています。

「後塵を拝する」の例文2

「新商品の発表のタイミングが悪く、ライバル会社の後塵を拝した」

企業では新商品の発表のタイミングを考えて、最も買い手が興味を持ち、しかも経済的に余裕がある時期を狙うものです。

ところがこちらが発表する直前にライバル会社が同じ様なモデルを発表してしまい、そちらに注目が集まってしまっている状態を表しています。

「後塵を拝する」の例文3

「先日のパーティーで彼はあからさまに後塵を拝していた」

業界の著名人が参加する様なパーティーで、紹介された人にこびへつらい連絡先などを交換している人の態度を好ましくないと思っている文です。

こちらは「権力者にこびること」という意味で使われています。

「後塵を拝する」の例文4

「教授の後塵を拝して研究室に入ることを決めました」

教授の講義に興味を持ち、勉強し続けて研究室に入ることを決めたことを表しています。

教授を尊敬する気持ちが含まれていて、良い意味で使われています。