この記事では、慣用句の「恩讐の彼方」の意味を分かりやすく説明していきます。
「恩讐の彼方」とは?意味
「恩讐の彼方」の読みは「おんしゅうのかなた」で、「良いことも悪いことも含め、色々な感情を乗り越えた後の現在の気持ち」と言った意味を持つ慣用句です。
「恩讐の彼方」の概要
「恩讐の彼方」における「恩讐」とは、「恩義と恨み」や「情けとあだ」や「恩義と敵(かたき)」と言った意味を持つ熟語です。
「恩」は「めぐみや、いつくしみ」という意味を持つ漢字で、「讐」は「むくいるや、しかえしをするや、かたき」などの意味を持つ漢字です。
「恩讐」とは、この相反する二つの漢字を連ねて構成されている熟語で、「良いことも悪いことも」や「酸いも甘いも」と言った色々な感情を意味する言葉なのです。
また「彼方」は「遠く離れた場所や方向」や「現在から遠く離れた過去や未来」を指す言葉です。
「恩讐の彼方」では、「現在から遠く離れた過去」の意味で使われています。
従って「恩讐の彼方」は、「良いことも悪いことも含め、色々な感情を乗り越えた後の現在の気持ち」と言った意味になるのです。
この慣用句は、大正の初めに菊池寛が発表した「恩讐の彼方に」という小説が由来だとされています。
この小説は、父を殺した男の仇討のために、探し求め、ようやく出会った実之助と僧了海と名前を変えた男の物語です。
了海は山を切り開いて道をつくる大仕事に、一人で苦労しながらとり組んでいました。
その姿を見て、父の仇討に来た実之助も、それに協力して、21年を掛けてようやく開通させたのです。
恩讐を超えた人情の美しさを描いた作品です。
ちなみに、二人が掘ったトンネルは、大分県の青の洞門がモデルです。
短編小説なので、一度読まれることを、お勧めします。
また「恩讐の彼方」と同じ意味で「恩讐を超えて」と言う慣用句が使われることもありますが、こちらの方が意味が理解しやすいかも知れません。
「恩讐の彼方」の言葉の使い方や使われ方
「恩讐の彼方」の言葉は、以下の例の様に使われます。
・『定年退職を迎えて振り返れば、まさに色々な出来事も恩讐の彼方と言えます』
・『長年、反目しあって来た二人ですが、ある出来事を期に、そんな気持ちも恩讐の彼方になりました』
・『現在は色々と大変で、苦しいことが起きますが、いつかきっと、それも恩讐の彼方だと言える日が来ると信じています』
「恩讐の彼方」の類語や言い換え
「恩讐」の意味を表現する「恩義と恨み」や「情けと仇」や「恩義と敵」を使って、そこに「彼方」の代わりに「超えて」や「の末」を付けて、「恩義と恨みを超えて」や「情けと仇の末」や「恩義と敵を超えて」とすれば、意味が分かりやすい言い換えとなります。
また「恩讐」の類語としては、「栄光と挫折」や「悲喜こもごも」や「喜怒哀楽」といった言葉があり、シーンに合わせてこうした類語を使う事も出来ます。
まとめ
「恩讐の彼方」の読みは「おんしゅうのかなた」で、「良いことも悪いことも含め、色々な感情を乗り越えた後の現在の気持ち」と言った意味を持つ慣用句です。
この言葉の由来は、菊池寛の「恩讐の彼方に」という小説が由来だとされています。