「露払い」という言葉は何を指しているのでしょうか。
今回は、「露払い」の意味と類似表現について解説します。
「露払い」とは?意味
「露払い」とは、「位の高い人を先導すること、または先導する人」を意味する言葉です。
「露払い」の概要
貴人や要人など位の高い人がなにか行動する場合、不測の事態を防いだり道に迷ったりしないように本人の前を下の人間が先導します。
そのような「身分が上の人よりも先に立って進むこと」を「露払い」と表現します。
「露払い」の本来の意味は「道を切り開く人」です。
昔は今ほど道路の整備が進んでおらず野山や草原などを進まなければならない機会も多かったのですが、そのような整備されていない道は草がぼうぼうと茂っています。
長い草には露がたくさんついていてそのまま進むと体や衣服が濡れてしまうことから貴人の体が濡れてしまわないようにあらかじめ部下が先回りして草を払って露を落とし茂った草を踏み固めて道を切り開いていました。
このように先回りして道を切り開く役回りの人のことを草の露を払う様子から「露払い」と呼ぶようになります。
現在ではそこから転じて「先行して準備を整えたり障害を取り除いたりすること」を「露払い」と読んでいます。
大相撲では横綱が二人の力士を従えて土俵入りを行います。
横綱に従う二人の力士のうち刀を持っているのが「太刀持ち」で何も持っていないもう一人が「露払い」です。
「露払い」は横綱を先導する役回りであり太刀持ちよりも位が上です。
「露払い」という言葉には「邪魔者を排除してその場を整える」という意味もあります。
集団同士がぶつかり合うとき大将同士が直接対決するためには邪魔な相手の兵隊を排除する必要がありますが、そのような場面で決戦の場をお膳立てするために雑魚や雑兵など弱いものを一掃して排除することを「露払い」と表現します。
「偉い人に先んじて行動すること」という意味から転じて「真っ先に行動すること」という意味でも使われる表現です。
宴会で最初に芸を披露したりカラオケで最初に歌ったりする人を指して「露払い」と表現します。
「露払い」の言葉の使い方や使われ方
・『横綱の露払いを務める』
・『露払いのおかげで安心して進める』
・『戦車部隊が本隊の露払いとして出撃する』
・『怪しい人物がいないか調べるのも露払いの役目だ』
「露払い」の類語や言いかえ
・先駆け
「本隊より前に先行する人」を意味する言葉です。
先回りして状況を確認したり休息や補給の準備を整えたり伝令を伝えたりなど仕事はさまざまですが「集団を離れて先に行動する役目」のすべてを表します。
「露払い」は後続が高貴な人の時に使われる表現ですが、こちらは役回りを意味する言葉なので身分の上下とは無関係です。
・切り込み役
「敵陣に最初に切り込む役回り」を意味する言葉です。
基本的には戦いに用いられる表現ですが「最初に事にあたる挑戦者」という意味で戦い以外にも使われます。
まとめ
語源は古い「露払い」という言葉ですがさまざまな場面で今も使われている現役の表現です。
日常会話で使われることもあるので正しい意味を知っておきましょう。