難読漢字によっては、送り仮名によってあたえる印象が異なることもあります。
この記事では、「訝しむ」と「訝る」の違いを分かりやすく説明していきます。
TPOにあったニュアンスを覚えていきましょう。
「訝しむ」とは?
訝しむ(いぶかしむ)とは、怪しむこと。
おかしいなと疑わしく思うことです。
不信な点があって、相手を信じられないとき。
どこかザワザワと、落ちつかない気持ちになるときに用います。
訝しむの「訝」には、謎が多くて合点がいかない。
理由がわからず、大喜びできないというニュアンスがふくまれています。
「言う」のとなりに「牙(きば)」がある漢字なので、心のどこかにキバを持つ、決して平和な雰囲気ではつかわない言葉です。
使い方としては「本物のダイヤモンドか訝しむ」「非通知設定の着信を訝しむ」「矛盾点があったため、彼のトークを訝しむ」などがあります。
疑いの念がわいて、晴れないときに用いる言葉です。
「訝る」とは?
訝る(いぶかる)とは、疑うこと。
納得できずに、不審がることです。
はっきりしない点が多くて、信用できないときに用いる言葉です。
訝るも「訝」というキバをもつ漢字があてがわれているので、気がかりがある状態。
心の奥に何かが詰まっているような、すんなり腑に落ちない様子をあらわしています。
良いシーンか悪いシーンかに分けるのなら、明らかに悪いシーンでつかいます。
具体的な例文としては「ガラスが割れる音を訝る」や「深夜の知人の訪問を訝る」そして「夫の言動を訝る」などがあります。
疑念がうずまいて、心が穏やかでないときに使います。
「訝しむ」と「訝る」の違い
送り仮名ひとつの違いですが、文章にするとたしかに響きが異なってきます。
「訝しむ」と「訝る」の違いを、分かりやすく解説します。
・間接的と直接的
訝しむと訝るは、ほぼ同じ意味をもつ言葉です。
同じように使うこともできますが、より柔らかいニュアンスが訝しむ。
対して訝るは、硬さのあるストレートな表現になります。
怪しいと思っているけれども、あまりきつい言い方はしたくない時は「訝しむ」。
怪しいと思っていて、素直にその気持ちをあらわしたい時は「訝る」です。
「訝しむ」の方が「~しむ」と丁寧な表現をつかっているので、オブラートに包んだような上品な言葉になります。
対して「訝る」は「~る」と短くまとめているので、ストレートで圧のある言葉に聞こえます。
遠回しの表現を選びたいなら「訝しむ」。
まわりくどいのが嫌いなときは「訝る」です。
まとめ
「訝しむ」と「訝る」の違いを、分かりやすくお伝えしました。
どちらも「訝」という漢字が使われていますが「~しむ」と「~る」で送り仮名が変化しています。
「訝しむ」と「訝る」はどちらも、怪しんでいる時や疑っている時につかう表現です。
「訝しむ」の方が、波風を立てないように配慮された言葉。
「訝る」は言い切りのフレーズとなるので、歯に衣着せぬストレートな言い方になります。